川島緑輝がエスカレーター式の私立聖女中等学校から公立の北宇治高校に入学を決めたきっかけ。

タイトル北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話
巻数4巻目
発売日2015年5月25日
作者武田綾乃
出版社レーベル宝島社・宝島社文庫

収録内容

  • 一 北宇治高校吹奏楽部の日常
  • 二 科学実験室の京子さん
  • 三 あの子には才能がある
  • 四 少女漫画ごっこ
  • 五 好きな人の好きな人(前編)
  • 六 好きな人の好きな人(後編)
  • 七 犬と猿とおかん
  • 八 背伸び
  • 九 コンプレックス
  • 十 きみのいなくなった日
  • 十一 北宇治高校文化祭
  • 十二 新三年生会議
  • 十三 お兄さんとお父さん
  • 十四 とある冬の日
川島緑輝

あー、いいなぁ。壁ドンって

加藤葉月

はぁ?

休日練習のお昼休憩。久美子、緑輝、葉月の低音パートの一年生3人は教室で昼食を食べながらおしゃべりしている。

加藤葉月

壁ドンって憧れるようなもんちゃうくない?うるさくしてたら隣からドンドン叩かれるやつやろ?

川島緑輝

そっちの壁ドンちゃうよー!

思わず叫んだ緑輝に、隣に座っていた久美子がくすくすと笑い声を上げた。

緑輝は、壁ドンの良さを語り合いたかったが、葉月は隣人に騒音のクレームを入れるほうの壁ドンしか知らなかった。

黄前久美子

よく少女漫画に出てくるほうの壁ドンのことだよね。男の子が女の子を壁際に追い詰めて、ドンって突くやつ

緑輝ほどではないが少女漫画を読む久美子が葉月に壁ドンの意味を教えてあげた。

黄前久美子

そういえば、緑って少女漫画好きだよね

川島緑輝

うん。めっちゃ好き。あんなふうな生活を送ってみたいなあって、ずっと思っててん。

久美子は以前にも緑輝が少女漫画を話題に挙げていたことを覚えていた。

緑輝は女子校でも友達が多いほうだった。小学校でも中学校でも周りにいる人たちはみんな優しくて、学校に対しては不満を抱いたことなんて一度もない。

緑輝は高校入学前から変わらず明るい性格で友人も多かったようだ。聖女に不平があったわけではないのに9年間も学校生活を共にした友人たちと別れる決断をしている。

それなのにどうして緑輝がエスカレーター式の私立校から公立の北宇治高校へと進学したかというと、とある一作の映画がきっかけだった。

たった一本の映画の影響で勇気のいる大胆な進路を選んだ緑輝。決断力というか行動力に驚かされる。

その映画は高校生の甘酸っぱい青春を描いたもので、当時女性のあいだで爆発的にヒットを記録した。緑輝も友人と一緒に三度も映画館へと足を運んだ。パンフレットも買ったし、DVDも買った。

緑輝は好きなものにはお金や時間を惜しまないオタクタイプだということが分かる。

こんなふうな学生生活を自分も送りたい!そう思った緑輝は、中学三年生の春に突如として外部へ進学することに決めたのだ

正直なところ、共学の学校ならどこでも良かったのだが、制服が可愛かったので北宇治高校に行くことにした。

緑輝の北宇治高校への進学理由は高校生男子との出会いを求めて。もうひとつは制服が可愛いからということらしい。

川島緑輝

葉月ちゃんも久美子ちゃんも想像してみてよ。自分の好きな男の子が壁ドンしてきたら、胸がキュンってするでしょ?

加藤葉月

そもそも、壁ドンがようわからんからうまく想像できひんわ

黄前久美子

私も好きな人いないから、あんまりわからないなぁ

おわりに

新しい環境を求めた久美子や祖父のいない学校を選んだ求くんとは違い、前向きで強い意志がある進路選択ですね。

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