漫画『宝石の国(1)』第2話より、虚の岬で再会したフォスとシンシャの重たい会話。
巻数 | 第1巻 |
話数 | 第二話 |
タイトル | 「シンシャ」 |
発売日 | 2013年7月23日 |
出版社 | 講談社 |
フォスは博物誌の仕事のため、再び虚の岬を訪れ、球根の付いた植物をスケッチブックに記録していた。
すると、後ろから突然声を掛けられ、ビクッと身体を震わせるフォス。振り向くとシンシャが立っていた。
おい。懲りてないのか
前日、この場所で月人の襲撃されそうになっていたフォスを助けたシンシャは、再びここに来ていることを咎める。
フォスは仕事のためだと言い返し、逆にシンシャがこの場所にいることについて問いただした。
そっちこそなんでまたここにいんだよ!
虚の岬はヘリオドールも月に連れ去られた危険な場所として知られている。
シンシャは危険な場所だということは承知の上だとし、虚ろな表情を浮かべ、理由を話した。
俺はここで攫われるのを待っている
シンシャは月人に月に連れ去ってもらうため、あえて学校から遠い危険な虚の岬にいることをフォスにだけ告白した。
何があるか分からない月にという未知な場所に期待してしまうほど、いまの環境に居場所のなさを感じているシンシャ。
そんなシンシャの悲痛な思いを知り、驚いたように目を丸くして、話しているシンシャをただ見つめるフォス。シンシャはさらに言葉を続ける。
だが昨日おまえが現れた途端ああだ
シンシャが待っているときは一度も来なかった月人が、昨日はフォスを襲うために虚の岬に出現した。
末っ子でみんなに可愛がられていて、さらには良い事ではないが月人にも好かれているフォスを、皮肉げにこう呟いた。
おまえはいいな 敵にすら愛されて
フォスはシンシャに対してかける言葉が思い浮かばず、黙ってただ俯くことしかできない。
おわりに
この後フォスは立ち上がり、とっさにある約束を口にするのですが、それがフォスの今後と物語全体を大きく左右することになっていきます。