北宇治高校吹奏楽部、最大の危機
巻数 | 3巻目 |
発売日 | 2015年3月5日 |
作者 | 武田綾乃 |
出版社・レーベル | 宝島社・宝島社文庫 |

-3-211x300.jpg)
収録内容
- プロローグ
- 一 唸れ! トランペット
- 二 轟け!トロンボーン
- 三 響け! ユーフォニアム
- エピローグ
二 轟け!トロンボーン
自分にできることだけを精一杯頑張ればいいんやって。
早朝六時、休日練習のため音楽室へ向かう階段を上る久美子と麗奈。全国大会が刻一刻と迫る中、二人はあすかが抱えている問題について話していた。
久美子はあすかが陥っている理不尽な状況に頭を悩ませ、その場で立ち止まってしまう。

なんで久美子がそんな顔してんの

悔しくて、
麗奈はその口元を和らげると、そっと久美子の背中に手を回した。胸と胸が密着して、皮膚越しに彼女の心臓の鼓動を感じる。

久美子はなんでも抱え込みすぎ。自分にできることだけを精一杯頑張ればいいんやって。

なんでもかんでも他人のこと気にしてたら、ほんまに自分がやらなあかんことを見失っちゃうで

……麗奈、ありがとう
麗奈は自分ごとのように考えすぎてしまう久美子にあすかの家庭の問題であるから首を突っ込みすぎることはない、それよりも今は自分のことに集中すべきだと伝える。
麗奈の抱擁と励ましにより、久美子はコンクールに向けての自身の課題を克服すべく練習に身を入れなおした。
三 響け! ユーフォニアム
だから、今度は間違えない。自分の将来は、自分で決める
親と仲直りするつもりで実家に帰り、晩御飯を作ろうとして姉の麻美子だったが、鍋を焦がしてしまい、代わりに久美子が料理することに。
麻美子は鍋をタワシで洗いながら自身の過去と将来について初めて妹に語る。久美子は手際よく味噌汁ときゅうりの和えものを作りながらそれを聞いていた。

いままでずっと、大人のふりばっかりしてた。わかったふりして、やりたいことを呑み込んで。

高校生だったあのときに、私は大人のふりをすべきじゃなかったのよ。

後悔も、失敗も、全部自分で受け止めるから、だから自分で道を決めさせて。

そう、親に伝えるべきだった。反対されても、自分で決めるべきだったの。だから、今度は間違えない。自分の将来は、自分で決める

家、出ていくの?

寂しい?

べつに、

私は、ちょっと寂しい。まぁ、ちょっとだけだけど
麻美子は大学を中退し、美容師を目指すため専門学校に入学することを決心した。姉と会う機会が減ることを寂しくないと強がる久美子。
姉が吹奏楽を辞めたからは会話も少なくなり、決して親密とはいえない姉妹関係であるが、お互いをずっと気にかけていたのが尊い。
先輩のユーフォの音を聞きたいんです!
前日、麻美子に言われた「後悔しないように」という言葉に後押しされ、久美子は昼休みが始まるとすぐにあすかと話をするため3年生の教室に向かった。
体育館の裏、非常階段の一番上の段に足を組んで腰掛けるあすかとその隣に並んで座る久美子。コンクールに出場するよう説得するも、夏紀が出るのがベストだと答えるあすかに、久美子は立ち上がり感情をぶつける。

正しいこととか、そんなの全部どうでもいいです。私は、あすか先輩と本番に出たい。なんでそれじゃダメなんですか

そんな子供みたいなこと言って、

子供で何が悪いんですか!先輩こそ、なんでそんな無理して大人ぶるんですか。実際はただの高校生なのに!

こんなのの、どこがベストなんですか!先輩はお父さんに演奏を見てもらいたかったんでしょう?誰よりも、全国に行きたかったんでしょう?
視界がにじむ。あふれてくる涙を手の甲で拭い、久美子は唇を噛み締めた。悔しかった。自分の言葉が、目の前の先輩に届かないことが。

諦めないでくださいよ。後悔するような選択肢を、自分から選ばないでください。

諦めるのは、最後まで頑張ってからにしてください。

私はあすか先輩に本番の舞台に立ってほしい。あのホールで、先輩のユーフォの音を聞きたいんです!
人と接するときは冷静で深く踏み込みすぎない久美子が放ったストレートな言葉が響く。アニメでは第二期の「第十回ほうかごオブリガート」で描かれてるシーン。台詞が一部変わっていたり、久美子の表情や声から切実な想いが伝わってきて、より感情移入できます。