小説『響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏』から名シーンを3つ紹介します。盛り上がりをみせるシリーズ2作目。

タイトル北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏
巻数2巻目
発売日2015年3月5日
作者武田綾乃
出版社レーベル宝島社・宝島社文庫

収録内容

  • プロローグ
  • 一 フルートの来襲
  • 二 トランペットの本心
  • 三 オーボエの覚醒
  • エピローグ

二 トランペットの本心

ずっとずっと悔しい思いばっかりしてたのに。

お盆休みの一日目、北宇治カルテットの面々は太陽公園のプールに遊びに来ていた。久美子は自販機で飲み物を買いに行った単独行動中に偶然、希美と出会う。

近くのベンチに座り、希美が部活を辞めた理由を尋ねた久美子は、去年部内で起きた出来事のあらましを知る。

黄前 久美子

そんなにやる気があるのに、どうして先輩は部活辞めてしまったんですか?なんでいまになって戻りたいってそう思ったんですか?

傘木 希美

戻りたいって、思わないわけがないと思わん?去年までわたしらがあんなに一生懸命声かけて、それでも誰も聞いてくれへんくて。

傘木 希美

真面目に練習してる子らが馬鹿を見てさ、ずっとずっと悔しい思いばっかりしてたのに。練習なんてせんでええやんって去年まで平気で言ってた子が、いまになってケロッとした顔で関西大会に出てんねんで?

傘木 希美

あと一年、アンタみたいに生まれるのが遅かったら、こんな思いせんでよかったのに。そう思うのは、悪いことなんかな

黄前 久美子

悪くなんか、ないですよ

傘木 希美

全国行くのがさ、昔からの夢やってん。吹奏楽部を始めたときからずっと、行きたいって思ってた。いまだってそう思ってる。

武田綾乃. 響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 (宝島社文庫) 宝島社. Kindle 版.

希美は去年までの部内の状況、退部に至った事情、いまの久美子たちを羨ましいと思っていること、復帰を望む想いなどを語った。

希美の選択は麗奈が言っていたような“逃げ”ではないと分かった久美子は、希美の復帰のため協力を申し出る。

三 オーボエの覚醒

楽しいこと、うれしいこと、ほんまにひとつもなかった?

久美子は希美から逃げるように走っていったみぞれを探し、南校舎の二階の廃部になった映画部の部室に入る。その埃っぽい教室の隅でうずくまっているみぞれを見つけ、みぞれが抱えている想いを聞く。

鎧塚 みぞれ

コンクールなんて、なくなってしまえばいい。そしたら、希美がいなくなることもなかった。評価に納得いかなくて、泣くこともなかった。

鎧塚 みぞれ

馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて。いくらやったって、楽しいことなんてひとつもないのに。何も残らないのに。苦しい気持ち、ばっかりなのに

他の階を捜索していた優子は、久美子とみぞれが話している教室に遅れて入る。

同じ南中学校吹奏楽部出身で中学最後の大会での苦い思い出を共有している優子は、みぞれの正面に対峙し、みぞれの本心を問いつめる言葉を投げかける。

吉川 優子

ほんまに希美のためだけに、アンタは吹奏楽を続けてきたんかいな。楽しいこと、うれしいこと、ほんまにひとつもなかった?この前の京都大会は?関西大会行きが決まったとき、ほんまにうれしくなかったん?

吉川 優子

うちはうれしかった。頑張ったら報われるんやって。やっと、そう思えたんや。中学の記憶から、やっと解放されたような気がした。みぞれは違った?アンタはあんとき、なんも思わへんかったか?

鎧塚 みぞれ

‥‥‥うれしかった、本当は。でも、それと同じくらい、辞めていった子たちに申し訳なかった。喜んでいいのかなって

吉川 優子

いいに決まってる。そんなん、喜んでええに決まってるやんか。少なくとも、うちは悲しんでほしくない。だから、笑って。

オーボエ奏者は一人しかいなかったため、みぞれは1年生のときからコンクールにもA編成で出場していた。自分だけが恵まれた環境にいることに後ろめたさを感じ、コンクールに対してネガティブな感情に囚われていた。

みぞれは優子の説教ぎみの言葉を受け、大粒の涙を流す。アニメ版では「響け!ユーフォニアム2 第四回 めざめるオーボエ」で映像化されている名シーン。

エピローグ

‥‥‥たったいま、好きになった

関西大会で最高のパフォーマンスを発揮した北宇治高校は金賞を獲得し、みごと全国大会に出場する3校に選ばれた。結果発表の直後、久美子は隣に座っているみぞれに今の想いを確かめる。

黄前 久美子

先輩、コンクールはまだ嫌いですか

鎧塚 みぞれ

‥‥‥たったいま、好きになった

久美子が彼女の満面の笑顔を見たのは、これが初めてのことだった。

普段、寡黙であまり感情出さないみぞれの笑顔とこのセリフでエピローグは締められている。みぞれがずっと抱えていたコンクールに対するわだかまりが解け、北宇治高校吹奏楽部の“いちばん熱い夏”は終わった。

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