吉川 優子

Yoko Yoshikawa

CV . 山岡 ゆり

・楽器:トランペット
・吹奏楽部の頼れる部長兼パートリーダー。
・勝気な性格で、夏紀とは犬猿の仲。


北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏

発売日2015年3月5日
作者武田綾乃
出版社レーベル宝島社・宝島社文庫

収録内容

  • プロローグ
  • 一 フルートの来襲
  • 二 トランペットの本心
  • 三 オーボエの覚醒
  • エピローグ

三 オーボエの覚醒

だから、笑って

鎧塚みぞれ

コンクールなんて、なくなってしまえばいい。

鎧塚みぞれ

そしたら、希美がいなくなることもなかった。評価に納得いかなくて、泣くこともなかった。

鎧塚みぞれ

馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて。

鎧塚みぞれ

いくらやったって、楽しいことなんてひとつもないのに。何も残らないのに。

鎧塚みぞれ

苦しい気持ち、ばっかりなのに

吉川優子

ほんまに希美のためだけに、アンタは吹奏楽を続けてきたんかいな。

吉川優子

楽しいこと、うれしいこと、ほんまにひとつもなかった?

吉川優子

この前の京都大会は?関西大会行きが決まったとき、ほんまにうれしくなかったん?

吉川優子

うちはうれしかった。頑張ったら報われるんやって。やっと、そう思えたんや。

吉川優子

中学の記憶から、やっと解放されたような気がした。みぞれは違った?アンタはあんとき、なんも思わへんかったか?

鎧塚みぞれ

‥‥‥うれしかった、本当は。

鎧塚みぞれ

でも、それと同じくらい、辞めていった子たちに申し訳なかった。

鎧塚みぞれ

喜んでいいのかなって

吉川優子

いいに決まってる。そんなん、喜んでええに決まってるやんか。

吉川優子

少なくとも、うちは悲しんでほしくない。

吉川優子

だから、笑って

北宇治高校吹奏楽部のホントの話

発売日2018年4月5日
作者武田綾乃
出版社レーベル宝島社・宝島社文庫

収録内容

  • 一  飛び立つ君の背を見上げる(Fine)
  • 二 勉学は学生の義務ですから
  • 三 だけど、あのとき
  • 四 そして、そのとき
  • 五 上質な休日の過ごし方
  • 六 友達の友達は他人
  • 七 未来を見つめて
  • 八 郷愁の夢
  • 九 ツインテール推進計画
  • 十 真昼のイルミネーション
  • 十一 木綿のハンカチ
  • 十二 アンサンブルコンテスト
  • 十三 飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)

十三 飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)

一緒に頑張ってくれて、ほんまありがとう

鎧塚みぞれ

だって、助けてくれてた。ずっと

吉川優子

自分勝手に動いてただけやって

鎧塚みぞれ

そんなことない。私、ちゃんとお礼を言おうって思ってた。だから、走った

吉川優子

あぁ、それで

言葉が詰まる。

胸がいっぱいになり、優子はとっさにうつむいた。両目が熱い。

鎧塚みぞれ

優子、どうしたの? 私、ダメなこと言った?

吉川優子

ちがう、全然。ダメじゃない。ただ、みぞれがそんなこと言ってくれるんがうれしくて

鎧塚みぞれ

ほんと?

吉川優子

うん、ほんと。こっちこそ、こっちこそ、いままでありがとう。

吉川優子

みんなが辞めたときに、吹部に残ってくれてありがとう。オーボエを続けてくれてありがとう。

吉川優子

一緒に頑張ってくれて、ほんまありがとう

鎧塚みぞれ

‥‥‥優子のほうが、ありがとうが上手

吉川優子

何それ

飛び立つ君の背を見上げる

発売日2021年2月27日
作者武田綾乃
出版社レーベル宝島社・宝島社文庫

収録内容

  • プロローグ
  • 第一話 傘木希美はツキがない。
  • 第二話 鎧塚みぞれは視野が狭い。
  • 第三話 吉川優子は天邪鬼。
  • エピローグ
  • 記憶のイルミネーション

第三話 吉川優子は天邪鬼。

代わりがいくらあってもアンタを選ぶ。

吉川優子

いくらでも代わりがいるなかで、うちはアンタを選んでこうやって一緒にいるワケ。

吉川優子

代わりがないからじゃなくて、代わりがいくらあってもアンタを選ぶ。

吉川優子

一緒に音楽やるのも、こうやって過ごすのも、夏紀と一緒がいいよ。

中川夏紀

そんな恥ずかしいこと、堂々とよく言えるな

吉川優子

そういう流れだったでしょうが! いま!

中川夏紀

ま、うちだって選ぶならアンタ以外考えられへんな

吉川優子

ソッチのほうが千倍恥ずかしい!