漫画『宝石の国 (1)』の中から印象に残る名シーンを3つピックアップしました。
アニメ『宝石の国』.第五話「帰還」
夜の見回りよりずっと楽しくて君にしかできない仕事を僕が必ず見つけてみせるから!
話数 | 第二話 |
タイトル | 「シンシャ」 |
ページ数 | p70 |
月人に襲われそうになったところをシンシャに助けられた翌日の昼間。フォスは博物誌の仕事のため、再び虚の岬を訪れ、そこでシンシャと再会する。
ルチルから虚の岬はヘリオドールも攫われた危険な場所だと聞いていたフォスは、なぜ仕事のない昼の時間にここにいるのか問い詰める。シンシャはその訳をフォスにだけ打ち明けた。
俺はここで、攫われるのを待っている。月でなら、俺に価値を付けてくれるかもしれない。おまえはいいな、敵にすら愛されて
手伝って、ほしいんだ
断る
よ、よし、じゃあ 夜の見回りよりずっと楽しくて 君にしかできない仕事を、僕が必ず見つけてみせるから!月に行くなんて言うなよ!なあ!
市川春子.宝石の国(1).(講談社)
体質の毒液のため学校にも居場所がなく、不必要だと理解しながら夜の見回りを続けるしかなかったシンシャは自身の存在意義を見失っていた。
不死の宝石たちにとっては自殺願望ともいえるシンシャの本音。それを聞いたフォスはその場から去ろうとするシンシャの後ろ姿に向かって、思い留まってほしい一心からとっさに叫んだ。
何の役にも立っていないならいてもいなくても同じでしょ…?
話数 | 第三話 |
タイトル | 「ダイヤモンド」 |
ページ数 | p107 |
ペアを組み、見回りをしているダイヤモンド属で二人だが、戦闘においてダイヤの出る幕はない。自分の非力さを悩むダイヤはそんな現状を変えるため、月人の弓矢を跳ね返すという新しい戦闘スタイルに挑戦していた。
しかし、はじめこそ順調に弓矢を弾き返していたが、蓄積された衝撃で腕が折れ、剣を落としてしまう。危うく全身を撃ち抜かれそうになる寸前で、ボルツに助けられる。ボルツは単独行動やかえって危険を招くような戦い方をするダイヤを叱責する。
またあの妙な戦い方試してたのか…?おまえには負担が大きい無理な芸当だと言ったはずだ!何を考えている!
だっていつもボルツに守られてるだけなんてやっぱり変だよ。僕だってダイヤモンドなのに何の役にも立っていないなら、い、いてもいなくても同じでしょ…?
くだらんことを
市川春子.宝石の国(1).(講談社)
同じ硬度十のダイヤモンド属としてボルツと比較されることの多いダイヤはボルツの強さに憧れる一方で、嫉妬心を抱いていた。
肩を並べて一緒に戦うことを望むダイヤと、ダイヤが傷つかないよう戦わせたくないボルツの複雑な兄弟関係。
ただ、うそつきというのだけはもう少し待ってやってもいい
話数 | 第六話 |
タイトル | 「エクストラクト」 |
ページ数 | p182 |
フォスはカタツムリに変わってしまったと勘違いしているダイヤ。シンシャは普段から生き物たちを観察しており、食べたもので殻を修復するという生態を知っていた。
フォスのことを大嫌いだとを言いつつも、言葉とは裏腹にフォスを元に戻すヒントをあげる心優しいシンシャ。
あんなうるさくて気の利かない間抜けずっと黙っていればいい。水の底で殻の傷を塞いで薄荷色の模様でいればいい
‥‥‥それってフォスが殻の一部になってるってことよね!? ほら~!やっぱり知ってるんじゃない!あの子の色の所を集めれば…!
やめろ!あんなやつ!助けたって意味なかった!何度甦っても無能で役立たずの期待はずれだ!
ただ、うそつきというのだけはもう少し待ってやってもいい
市川春子.宝石の国(1).(講談社)
フォスに対して無数の悪口が浮かぶシンシャだが、虚の岬での夜の見回りに代わる仕事を必ず見つけるという約束は破っていないから嘘つきとは言わない。
期待していないと言いつつ、フォスが夜から出してくれること心の底では信じている。