芹菜と梓、性格が正反対な二人による最悪の出会い。そして放課後の教室で繰り広げられるバチバチの口喧嘩。
立華高校 マーチングバンドへようこそ 前編
タイトル | 立華高校 マーチングバンドへようこそ 前編 |
巻数 | 5巻目 |
発売日 | 2016年8月4日 |
作者 | 武田綾乃 |
出版社・レーベル | 宝島社・宝島社文庫 |
収録内容
- プロローグ
- 一 暴走フォワードマーチ
- 二 追憶トゥーザリア
- 三 緊張スライドステップ
- エピローグ
北中学校吹奏楽部に所属している佐々木梓は練習終わり、教室に忘れたノートを取りに向かった。
そこでクラスメイトの柊木芹菜と出会う。梓は芹菜と特段仲の良いわけではなかったが、いつも他の友達にするように声をかけた。
芹菜じゃん。こんな時間まで何してんの? もしかして自主勉とかやってた?
うちも勉強しなあかんとは思ってんねんけどさ、部活あるからなかなかできひんねんなあ
それさ、聞いてどうするわけ?
よくまあ、そんなべらべらと舌が回んな。どうせ気まずい相手とおるから頑張ってしゃべって間を埋めてるだけなんやろ
べつに気まずいとか思ってへんって
嘘つき
ちょっとした世間話のつもりだった梓は、ここまで拒絶されるとは思っていなかった。芹菜に話しかけた意図まで見抜かれ動揺する。
佐々木さんみたいな人、見てて苛々する。上から目線で話しかけてきて、自分が受け入れられるのが当然みたいに思ってる。
ねえ、私みたいなやつに話しかけて何がしたいわけ? お前みたいなクズに話しかけてやるなんて、私はなんて優しい子なんだろうって、そうやっていい人な自分に酔いたいだけでしょ
芹菜さ、もうちょっと相手のこと考えてしゃべったほうがいいと思うよ? そんな性格やと友達できひんやろ
佐々木さんさ、病気や思うよ
この言葉が佐々木梓にとって、忘れたくても忘れない記憶として深く刻まれることになる。
何が?
そうやって、誰とでも仲良くなろうとするの。自分が不利な立場にならんように、みんなに八方美人して。嫌われたくない病にかかってる
それの何があかんの? だって、友達おらんよりいたほうがええやん。
学校でひとりぼっちって、めっちゃ寂しない? やっぱさ、せっかくの学校生活やねんから楽しんだほうがええやん
佐々木さん、全然楽しそうには見えへんけど
それ、アンタには言われたくない
友達の数がステータスだと考えている梓のことを"病気"とまで評した芹菜。この二人の関係はどうなっていくのか・・・